ペンタックス・社長辞任とTOB反対決議へ


HOYAとの合併計画を巡って内紛状態にあるペンタックスが10日の臨時取締役会で、自社に対するHOYAによる株式公開買い付け(TOB)への反対を決議する見通しとなった。
浦野文男社長(63)の辞任と、後任の社長に綿貫宜司・取締役上級執行役員(54)が昇格する人事も正式に決める。

HOYAは、社外取締役の都合によって9日から10日に変更した臨時取締役会で、ペンタックスに対するTOBを正式決議する見通し。
ペンタックス側はすでに、浦野社長ら2人を除く経営陣の賛成多数で、合併の白紙撤回を決めているが、さらにTOBについても反対を決議した場合は、HOYA側が敵対的TOBに踏み切る可能性もある。


ペンタックス関係者によると、HOYAとの合併計画を進めた浦野社長と森勝雄取締役専務執行役員を除く6人の取締役は9日までに、HOYAによるTOBに反対する方針を固めた。内紛の責任をとって辞任する意向を固めた浦野、森両氏は、役員室から別の部屋に移るように求められたという。


一度発表したHOYAとの合併話を白紙に戻す決定について、ペンタックス関係者は「大株主から合併比率への不満が出て、株主総会で合併計画案が否決されるリスクを考慮した」と説明する。


合併を主導した浦野社長への不信感もある。
「同業他社に漏れてしまう」(浦野社長)との理由で、大半の取締役は昨年暮れの発表当日まで合併計画を知らされておらず、「密室で決められたとの思いを強く持った」と、ある取締役は打ち明ける。


「浦野社長は当初、大株主や金融機関なども合併に賛同していると言っていたが、実際には創業家が反対するなど、説明が食い違っていることがわかってきた」という批判もある。
大株主や取締役、社員への説明が後手に回ったことが、社内に混乱を招く原因になったという見方は多い。


ペンタックス社内には、時価総額で約18倍のHOYAによる事実上の吸収合併へのアレルギーが依然として強い。また、カメラ事業の売却を示唆したHOYA側の言動も反発を強めた。「業績回復に向けて懸命になってやってきたのに、HOYAと統合すれば売られてしまう」と反発する社員は多い。


ペンタックス幹部は「HOYAが欲しいのはメディカル(医療機器)部門だ」と指摘。部門別に解体された場合、「光学製品と精密機器が一体になって成り立っている光学メーカーとしての事業が、立ち行かなくなる」と、強い懸念を表明する。


これで白紙状態に戻ったわけだからHOYAがどう動いていくか
敵対的買収へ進めていくのか今後は注視する必要があるかもしれない。